シグナスの末尾に「X」の称号がつく2003年から生産されているシグナスシリーズは、国内のユーザーからは1型、2型、3型、4型などと分けて呼ばれているのをご存知でしょうか?
これは、シグナスの細かい仕様の違いを大枠で把握するためなのです。
また、国内では一般的に「シグナス」と言えば2003年以降のシグナスのことを指します。
(それ以前に作られたシグナスは、一般の利用者は「これって本当にシグナスなの?」と感じてしまうほど大きくデザインが異なります。)
また、ヤマハのシグナスは全てヤマハ発動機の傘下にあたる「台湾山葉機車工業」が製造しているため「台湾製」となります。
そのため現行での「日本製」の「シグナス」は存在しませんが、国内では2015年から「シグナスX-SR」のみのモデル名で販売を開始しています。
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型別でシグナスの歴史をご紹介!
【2015年以降】シグナスX-SRの後期(4型)
出典:www.yamaha-motor.co.jpmclineupcygnus-xcolor.html
3型前期からモデルチェンジをおこなった後期モデルでは、後輪ブレーキがディスクタイプに変更されたのが大きな特徴です。
フロントのディスクブレーキは右側から左側に移行され、より安全性の高いモデルとなりました。
デザインはよりスポーティーで戦闘的なスタイルになり、メーターは液晶のマルチファンクションタイプを採用しています。
また、このモデルから台湾仕様同様にO2センサーが標準で装備されはじめました。
【2013年以降】シグナスX-SRの前期(3型)
出典:goo.glimagesZpxJSi
2型のFIからモデルチェンジしたシグナスの3型前期にあたるこのモデルは、灯火類がLEDに変更されメーターがデジタルになりました。
シグナスX-SRの「SR」とは、シグナスXにデジタルスピードメーターやスポーツサスペンションなどを追加したスポーツ仕様車のモデル名なのです。
その他にはシートがツートーンになり、ディスクがウェーブタイプになるなど、デザインの変更による装備のスタイルも変わっていったモデルです。
【2007年以降】シグナスX-FI(2型)
出典:goo.gl/images/8tdLrA
シグナスX-FIのFIは「フューエルインジェクション」の略称で、2005年には台湾で先行発売され、2007年に国内でも若干量販売されたモデルです。
液晶のデジタル燃料計が装備され、フロントのディスクブレーキが大型のものに変更されました。
また、給油キャップのキーがエンジン始動のキーと同じものになり、給油の際にわざわざエンジンを切る動作が必要になったのもFIモデルからです。
【2003年以降】シグナスX(1型:se12J)
出典:goo.glimagesEwVHRn
シグナスXは、現行のシグナスとなる原型モデルです。
ウインカーレンズは生き物のような形状に変化し、ヘッドライトはフロントカウルに埋め込まれるデザインを採用しています。
丸みを帯びたデザインに直線的なラインが入っているのも特徴的で、燃料供給方式はキャブレーターになるためカスタムできる幅が広いのも愛されるポイントです。
「シグナスX」シリーズ別のスペック一覧
X | X-FI | X-SR(前期) | X-SR後期 | |
新車価格 | 35.9万円 | 32万円 | 27.8万円 | 31.86万円 |
中古価格 | 8.93~31万円 | 17.5万円 | 20.83万円 | 万円 |
全長 | 1m87cm | 1m85.5cm | 1m87.0cm | 1m89.5cm |
全幅 | 68.5cm | 68.5cm | 68.5cm | 69cm |
全高 | 1m13.5cm | 1m11.3cm | 1m13.5cm | 1m11.5cm |
車両重量 | 122㎏ | 122㎏ | 122㎏ | 118㎏ |
燃費/L | 46km | 40km | 40km | 43km |
タンク容量 | 7.1L | 7.1L | 7.1L | 6.5 |
馬力 | 11ps | 11ps | 11ps | 9.8ps |
最大トルク | 9.1N・m/8500rpm | 9.1N・m/7500rpm | 9.1N・m/7500rpm | 9.9N・m/6000rpm |
タイヤサイズ(前/後) | 12/12 | 12/12 | 12/12 | 12/12 |
ブレーキ前 | ディスク | ディスク | ディスク | ディスク |
ブレーキ後 | ドラム | ドラム | ドラム | ディスク |
シグナスの名前の由来「白鳥座」と言われている
出典:goo.glimagesnWGrL9
ヤマハのシグナスは、トレミーの48星座のうちの「白鳥座」が由来と言われています。
初期型のXC180ではフロントカウルが白鳥のくちばしをイメージしたものでしたが、残念ながら性能面ではデメリットが多く、開発が進むにつれて本来の形を失っていきました。
実はシグナスは「台湾製」がほとんど?!
シグナスは、1995年からヤマハ発動機の傘下にあたる台湾山葉機車工業(たいわんやまはきしゃこうぎょう、英語略称YMT)が製造していましたが、2008年からヤマハが国内で販売している125cc以下の全てのバイクを生産するようになったためシグナスも国内生産することになりました。
シグナスは、台湾で細かな仕様変更を受け続け、それを日本独自の規格に合わせて国内で販売されてきた経緯があり、台湾仕様のシグナスは並行輸入されており、国内は国内のものとして販売されてきました。
そのため、同じシグナスでも「蓋を開けてみると想像のものと違う・・・」というケースも少なくなかったそうです。
シグナスの「台湾仕様」と「日本仕様」、なにが違うの?
シグナスのコアなファンは、「台湾シグと国内シグのどちらが良いか」について一度は議論したことがあるのではないでしょうか?
この場合、2007年の2型~2015年の3型前期までのことを指しているケースがほとんどです
愛用者の間では「台湾シグ」・「国内シグ」などと呼ばれ、それぞれの自由度の違いと機能性や安全面の違いからファンが分かれます。
日本仕様の場合、機能面や安全面が重視されている反面、台湾仕様はスピードや走行性能が重視されており、デザインこそ大きな違いはないものの全く違うスクーターである事がわかります。
また、「台湾仕様」は「国内仕様」よりも5~10万円(2013年時点)ほど安く手に入る反面、新車でメーカーから購入しても保障を受けられないというデメリットがあり制約も存在します。
日本仕様(SE44J) | 台湾仕様(SE465) | |
ウインカーレンズ | オレンジ | クリヤー |
エンブレム | 立体エンブレム | ステッカー |
シート | 硬め | 柔らかめ |
ヘッドライト | 常時点灯 | ON/OFFスイッチ |
メータースケール | 110km | 140km |
始動方式 | セル・キック | セル |
ウェイトローラー | 12g×6/20φ | 9g×6/20φ |
荷掛けフック | 〇 | ✕ |
コンビニフック | 〇 | ✕ |
メットインの保護シート | 〇 | ✕ |
キーシャッター | 〇 | ✕ |
サイドスタンドセンサー | 〇 | ✕ |
ハザードランプ | ✕ | 〇 |
パッシングスイッチ | ✕ | 〇 |
エッジガード | ✕ | 〇 |
O2センサー | ✕ | 〇 |
比較すると分かるように、国内仕様は日常生活での使用を想定した装備になっています。
安全性が重視される日本国内では、サイドスタンドを掛けたままによるエンジンが始動できないものその理由です。
逆に台湾仕様は、コストを抑えながらも台湾国内の法規制、交通事情に合わせた装備になっており、走行する上での機能面は台湾仕様が特化していて、移動手段としての面が強いことが特徴として挙げられます。
台湾仕様を新車・中古に限らず、購入する際は簡易的なメンテナンスでも断られる可能性があることは頭にいれておきましょう。(国内と台湾では使用する部品が違うため取り寄せに時間がかかる、修理業者にとって負担が大きい など)
・エンジンハンガー(ブラケット)は台湾仕様のほうが振動軽減効果が高いものを使用している
・台湾仕様はサイドスタンドを出したままでもエンジンが始動できる。(サイドスタンドセンサーがない)
・国内仕様のクーリングファンシュラウドは台湾仕様よりも騒音対策のために大きく突き出た形状になり、一部の社外マフラーの取付ができない。
・台湾仕様のバックミラーはエッジが形状になり、国内仕様は丸みを帯びた形状になっている。
・リアサスペンションのスプリング密度に違いがあり、台湾仕様はより運転者が疲労を感じにくく、国内仕様はより路面の状況を掴みやすいスポーティーなセッティングになっている。
二つの違いは「キックペダルの有無」で判断しよう!
かんたんに「台湾シグ」と「国内シグ」を見分けようするのであれば、始動方法の一つである「キックペダル」がついているかどうかを確認しましょう。
キックペダルがついているシグナスは「国内シグ」で、ついていないのが「台湾シグ」です。
あまり知られていない「加速の谷」
国内仕様のシグナスは、時速40km~60km間のアクセル操作がエンジン特性によって扱いづらい速度域になっています。
一旦は60kmまで順調に加速するものの、40kmまで減速してから再度加速するとガス欠に似たようなモタつきが発生します。
仕様の違いには各国の環境問題と交通規制が影響しており、外観に大きな差異はないものの、エンジンの内部構造や電子デバイスまで細かい変更が加わっています。
シグナスX-SRのレビュー・口コミ
良い評価
・メーター表示が豪華で綺麗
・社外パーツが豊富
・風格と積載性は同クラスの125ccよりも満足
・テールランプの作りが非常に良い
・サスの出来が良いため、カーブが綺麗に曲がれる
・加速感は無いが最高速の到達時間が速い
・ストップ&ゴーの初速については文句ない
悪い評価
・昼間のメーターの視認性が悪い
・パワーダウンがはっきりとわかる
・各部の塗装が甘く、錆が出やすい
・フロントサスペンションの動きのチープ感が否めない
・加速が鈍く、坂道でアクセルを開けても減速するようになった
・70km/hを超えたあたりからの加速が弱い
代表的なシグナスXのカスタムをご紹介!
ウインカー
出典:goo.glimagesmf19Ab/goo.glimagescCNNPF/goo.glimagess8ae9R
近年ではウインカーにも3Dラインが使用されたものもアフターパーツとして販売されています。
とくにシグナスは生物の眼球を彷彿とさせるデザインのため、カスタムが失敗しにくいと言われています。
ヘッドライト
出典:goo.glimagesi98fP1/goo.glimagesc5eF9e/goo.glimagesPgYhJB
ヘッドライトにも同様に3Dラインを使用したものがあるが、LEDで装飾を施すほうが今や主流となっています。
またイカリングでプロジェクターを装飾するのもメジャーなカスタム方法です。
テールランプ
出典:goo.glimages6Px25z/goo.glimagesbYmKo1/goo.glimagesHluI8S
テールランプにはラインを多用したものが多い印象があります。
また、ストップランプの一部がウインカーの役割を果たす高機能なテールランプも販売されており、視認性も向上するメリットも備えています。
【番外編】シグナスについての豆知識
シグナスに乗っている人は「30~40代」が多い!
シグナスの主なユーザーは30代~40代で、主な購買理由にブレーキ性能と街に溶け込むヤマハデザインが好まれていることが挙げられます。
また、シグナスはバイクの2台持ち候補としてよく名前が上がるため、おもに積載性とスポーツ性能の両面が欲しい場合に選ばれる傾向にあります。
シグナスに乗っている芸能人「安田大サーカスのHIRO」
安田大サーカスのHIRO(本名:廣瀬 康幸(ひろせ やすゆき)さん)がシグナスX-SR(1型:se12J)を愛車として所有しています。
ウインカーは前後共にスモークレンズに、リアスポイラーは後方に突き出し、ハンドル周りは機能性の高いアクセサリーで固めるなど、いわゆる「ビクスク」に寄せるようなカスタムをしています。
この他にも「ハートフォードmini150」や「マジェスティ250」を所有していると言われており、よほどなバイク好きなようです
シグナスの積載性にかかれば「米一俵」も余裕?!
出典:goo.glimageswp7fYG/geocities.jpe877898psygsyg3.html
シート下の収納に優れているシグナスでは、「米一俵」が収納できるほどのスペースがあり、PCXやアドレスVよりも積載能力が高いこともシグナスの特徴です!
シグナスのリコール情報 ※ヤマハ公式HPより
ヤマハから以下の内容でリコールが出ており、対象車種の形式は「EBJ-SE44J」と「JBK-SG28J」の二つ、あわせて合計で74,617台が対象になります。
・車速センサーの取付不良でグリス切れを起こし、ブレーキローターが破損する恐れがある。
・後輪ホイールが製造時に不具合があり、タイヤとの密着性が悪く、最悪の場合転倒する恐れがある。
引用元:www.yamaha-motor.co.jp/recall/mc/recall/2014-11-18/index.html
旧モデルのシグナスもついでにご紹介!
シグナスSV(XC125SV)
出典:goo.glimages7cTB8Q
シグナスSVは、Siからモデルチェンジされたシグナスです。
車両重量が97㎏になり、前輪が安全性の高いディスクブレーキが採用されているのが特徴で、またSiとの差別化のためにお気持ち程度にフロントスクリーンが装備されています。
シグナスSi(XC125Si)
出典:goo.glimagesCnfrDM
シグナスSiは、台湾の女性をターゲットにしたSV型の廉価版(れんかばん)になります。
ヘッドライトはハンドルと一体型になる単眼ヘッドライトになり、ウインカーはフロントカウルに収納されます。
全体的に丸みを帯びたデザインで、価格を抑えただけあり前後ともにブレーキがドラムになっている。
シグナスD(XC125D)
httpsgoo.glimagesm7JgvK
シグナスDは、現行のスポーティーな原型が見えるスタイリングになっている。ヘッドライトはフロントカウルに収納され、フロントはディスクに変更、直線的なデザインになっている。 また、この時代のシグナスは、現行と比べて移動手段として味が強いのが特徴である。
シグナス(XC125)
出典:goo.glimagesEwVHRn
シグナス(XC125)はXC180の失敗をから、ダウンサイズさせて問題であった排熱機構を改善したシグナスになる。 特徴として、フロントカウルが一体型から分離式になり、より前方からの走行風でエンジンが冷えるような構造になっている。また、フロントサスペンションが片持ちから2本になり、リアキャリアが標準装備になっている。
シグナス180(XC180)
出典:goo.glimagesKPZP8T
XC180は、ヤマハスクーター初の4ストロークエンジンを搭載した171ccの大型スクーターである。当初のシグナスは高速道路やツーリングを目的として発売されたが放熱性能が悪く、販売は伸びなかった。また、当初としては大型スクーター(125ccを超えたスクーター)は評価されない時代だったため、後期型では125ccにダウンサイズする。
旧モデルのシグナスのスペック
XC180 | XC125 | XC125 D | XC125 Si | XC125 SV | |
新車価格 | 28.9万円 | 24.9万円 | 28.9万円 | 25.9万円 | 27.9万円 |
全長 | 1m84cm | 1m88cm | 1m86cm | 1m79.5cm | 1m80cm |
全幅 | 71.5cm | 65cm | 67cm | 66cm | 66cm |
全高 | 1m12cm | 1m9.5cm | 1m7.5cm | 1m6.5cm | 1m6.5cm |
車両重量 | 108㎏ | 91㎏ | 104㎏ | 97㎏ | 107㎏ |
燃費/L | 30km | 不明 | 55km | 55km | 41km |
タンク容量 | 6L | 不明 | 7.8L | 6.5L | 6.5L |
馬力 | 15ps | 11ps | 10ps | 10ps | 9.8ps |
タイヤサイズ(前/後) | 10/10 | 10/10 | 10/10 | 10/10 | 10/10 |
ブレーキ前 | ドラム | ドラム | ディスク | ドラム | ディスク |
ブレーキ後 | ドラム | ドラム | ドラム | ドラム | ドラム |
※最大トルク(左から順):14.7N・m/6000rpm、10.8N・m/6500rpm、9.8N・m/7500rpm、9.8N・m/6000rpm、9.8N・m/7500rpm