バイクの中古車価格を決める要素はたくさんあります。新車時の価格、年式、走行距離、錆の度合い、事故や転倒の履歴、人気のあるなし、中古車台数が多いか少ないか、はてはカラーまで。 これら要素を全て加味して中古車価格は決まるわけですが、大型バイクと原付では、チェックすべきポイントは若干違ってきます。 簡単に言うと、車重のある大型はエンジンより先に車体が傷むのに対し、高回転まで上げて走る原付ではエンジンが先に傷んできます。 ここでは原付に絞って、原付の中古価格はどこで決まるかを考察し、解説します。
■年式
車でもバイクでも、年式は、中古車価格を決める大きな要素です。 例えば、世界で最も多く作られたバイクであるホンダのスーパーカブ50は、1966年から2017年まで、一時の製造中止を除いておよそ50年製造されています。 極端に古い「ビンテージモデル」は価格も高くなりますが、それは除いて、一般的に市場に出回る10年以内のモデルであれば、年式が新しいほうが価格は高くなります。
理由は簡単で、年式が新しい方が、走行距離は少ない場合が多いからです。 走行距離が少なければ、エンジンから車体全体の傷みや摩耗が少ないですよね。それはエンジン内部のシリンダーやクランクからはじまり、チェーン、スプロケット、サスペンションからタイヤまで、つまり全てにわたります。
さらには、新型であれば、旧型を改良した新しいメカが装着されています。 かつてバイクの燃料供給装置はキャブレターしかありませんでしたが、今ではフューエルインジェクション(以下「FI」)を装着したバイクがメインとなりました。
キャブレターと比べたときのFIのメリットは次の点です。
・コンピューターで燃料を噴射するため、燃費がよい
・気圧や気温によるエンジン性能変化が少ない
さらに、年式の新しい車体は、タイヤやサスペンション変更による安全性の向上、軽量で強い新素材による燃費向上なども図られており、様々な意味で優れていると言えます。 そのために価格は高くなります。 大まかに言うと、年式が1年違うと中古価格で数%違ってきます。単純には言えませんが、10年違うと30%から50%の差が出てきます。
■走行距離
二番目は、走行距離です。 ここでは、原付ゆえに注意しておきたい点があります。それは、原付エンジンは非常に走行距離の影響を受けるということです。 バイクの性能を表すスペックに、「一次減速比」「二次減速比」があります。 一次減速比とは、クランク軸の回転数を、ドライブシャフトまでどれだけ減速させるかを示す値です。 二次減速比とは、ドライブシャフトの回転数を、タイヤまでどれだけ減速するかを示します。 例えばスーパーカブ50では、一次減速比は4.058、二次減速比は3.538です。 両者をかけ算すると、4.058×3.538=14.357です。 一方、ホンダのCB1300SFでは、一次が1.652、二次が2.222で、1.652×2.222=3.671です。 両者の比は、約4倍となります。
これはどういうことかと言うと、スーパーカブ50では、CB1300SFに比べ、タイヤが同じ1回転する間、クランクシャフトが4倍回転しているということです。単純に、CB1300SFでタイヤ1回転=クランク1回転とすると、スーパーカブ50では、タイヤが1回転するうちクランクは4回転しているということになります。
同じ走行距離でも、原付は大型に比べて非常にクランクの累計回転数が多いわけです。単純にクランク軸だけで大型の4倍回転していますから、大型が4気筒であれば原付のシリンダーはさらに4倍=計16倍酷使されていることになります。
このよううに原付は、排気量が少ないために劣る馬力とトルクを、クランクをより多く回転させることで補っているのです。 バイクにはオドメーターがあって走行距離が分かりますが、仮に【クランクオドメーター】があって、クランクシャフトの累計回転数を記録したとすると、原付はリッタークラスのバイクに比べ、4倍進んでいることになるでしょう。
したがって、原付バイクの中古車を買う場合、年式よりもむしろ走行距離を気にしたほうがいいことは間違いありません。 しかし、こればかりを心配する必要はなく、メーカーもその点は当然把握していますから、エンジン各パーツには十分な耐久性が持たせてあります。 ちなみに大型バイクでは、重量ゆえ、エンジンより先にステアリングヘッドやサスペンションが傷んできます。
ただし走行距離は、メーターを交換したり巻き戻しされたりすれば、簡単に分からなくなってしまいます。10年前の年式なのに走行距離1,000kmなど、不自然なものは疑ってかかるべきです。 こと原付において走行距離は、1kmでも少ないに越したことはありません。できれば走行2~3,000km以下の車体、多くても5,000km程度までの範囲で選びたいものです。
■外観(サスペンション、駆動系、シリンダーからのオイル漏れ)
次に外観は、そのバイクがどのような使い方をされてきたかと、どれだけ大切にされてきたかを表します。ただし汚れは、洗車すればほとんど落とすことができますから、さほど気にする必要はなないでしょう。 ここでチェックすべきはまず、サスペンションの錆、駆動系、オイル漏れです。
(1)サスペンションの錆
サスペンションで注意すべき個所を、重要な順に示します。ただしこれは、原付に限ったことではありません。
1.フロントフォーク・インナーチューブ
バイクは走れば必ずサスペンションが動きます。前後タイヤをしっかり路面に押し付ける働きをするのはサスペンションですが、フロントサスのインナーチューブに錆があるバイクは敬遠しましょう。 チェックポイントとしては、
・曲がり、よじれがないこと(立ちゴケでよじれる場合もあります)
・スムーズに動くこと
・オイル漏れがないか
チューブに錆があることは、長期間乗らなかったか、丁寧に扱われてこなかったことをはっきり示すものだからです。またインナーチューブに錆があると、サスが動くときに引っかかるため、サスの動きが悪くなっているのは十分あり得ます。
そんな中古バイクを買ってツーリングに行くと、コーナーでサスの動きが悪いために転倒したり怖い目に遭ったりする可能性が高くなります。インナーチューブを交換すれば、さらに数万円の出費がかかるでしょう。
2.リアサスロッド
同じことが言えるのがリアサスロッドです。フロントと同様、リアタイヤがスムーズに動くためには、ここに錆があってはなりません。
・曲がっていないか
・オイル漏れがないか
バイクは2本のタイヤを路面に押し付けて走る乗り物ですから、サスが本来の性能を発揮しているかどうかは、走りの質に直接かかわってきます。バイクのサスは、4輪の車以上に大切なものです。
(2)駆動系
原付バイクのほとんどはチェーンドライブですから、チェーンとスプロケットをチェックします。
チェーン
チェーンは消耗品ですから、走行距離と使用状況によって必ず摩耗します。 しかし程度のいい原付中古を買おうと思ったら、チェーンも必ずチェックしたいです。そこを見れば、前オーナーがどれだけメンテナンスしていたかが分かるからです。 チェックすべきポイントは、
・各コマが満遍なく動くこと
・錆がないこと
・バイクを前後に動かし、引っかかりや異音がないこと
コマが固着していると、部分的に「L」型になっていますからすぐ分かります。なければ、停止状態できれいにたわんでいるはずです。
スプロケット
スプロケットとは、チェーンの前後に合計2つある歯車状のパーツで、エンジンの動力をチェーンに伝える働きをしています。 エンジン側を「ドライブ」、リアタイヤ側を「ドリブン」と言い、走行距離に応じて両側とも摩耗しますから、通常カバーされているドライブ側もチェックしたいですね。 チェックすべきポイントは、
・歯に欠けがないこと
・錆、ひび割れがないこと
(3)シリンダーからのオイル漏れ
既に述べたように原付のエンジンは、走行距離に比べて累計回転数が多く、いわばエンジンは常に酷使される状況に置かれています。 オイル交換をあまりせずに走ってきたバイクは、ピストンやギアが早く傷み、その結果すり減り、場合によっては、シリンダーパッキンからオイルが漏れてきます。具体的には、シリンダーのエキパイ(排気管)が出ているちょっと上にある合わせ目で、そこから漏れてきます。ここはシリンダーの上にカム部を乗せるため、構造上どうしても分離しなければならず、高温高圧にもなることから、どうしてもオイルは漏れやすくなります。
またスクーターなどシリンダーが見えない場合は、下から覗いてみて、見える範囲で判断するしかありません。 また、ピストンやピストンリングが減っていると、排気ガスからもオイルが燃えて白煙が出ます。4サイクルエンジンは基本的に白煙が出ませんから、出るようなバイクは敬遠すべきです。
■ブレーキ
次はブレーキです。 ブレーキは、車体を安全に止めたり、スピードを落としたりするために必要不可欠なメカですよね。では、ブレーキのどこをチェックすればいいでしょうか。
(1)ディスクブレーキ
外観と効き具合をチェックします。 外観のチェックポイントは次のとおりです。
・ディスクの厚みはあるか
・パッドは減っていないか
・ブレーキオイルの漏れはないか
(ハンドルのマスターシリンダー、ホース、パッドまで辿ってチェックします)
・レバーに曲がり、折れはないか、スムーズに動くか
・ブレーキランプは点灯するか
次に、効き具合のチェックポイントです。
・フォークは左右均等に沈むか
・異音がしないか
(2)ドラムブレーキ
ドラムブレーキは、回転するホイール内側にブレーキシューを押しつけてブレーキをかけるメカです。したがって、シュー(ディスクブレーキの「パッド」に相当する部分)の厚みが外から見えません。かと言って、外して見ることはなかなかできませんから、外観で判断するしかありません。
・ドラムブレーキ周囲が綺麗にされているか
・ブレーキがきちんと効くか
・かけたときに異音がないか
■カスタム
(1)カスタムとは
カスタムの楽しみは、バイクを購入し、マフラーやハンドルを交換して自分好みの一台にすることです。バイクは車に比べてシートやハンドル位置調整があまりできないため、どうしてもライダーが体格面でバイクに合わせなければなりません。ポジションが自分に合ってなおかつ運転しやすくなるよう、ハンドル、シート、ステップ位置を他パーツに変えるのがカスタムです。
またマフラーのように、ポジションには関係なくても、好みのデザインや音色に変えるというカスタムもあります。 このカスタムは、買う立場からすると、一長一短あると言えます。
(2)カスタムしてあるバイクの注意点
例えば、マフラーを交換してあるカスタム原付があり、それがレアあるいは高額なマフラーで、なおかつ大事に乗られてきたという場合であれば、優良中古車とも言えます。 つまり魅力的なバイクとなるので、中古価格も高くなります。
しかし、カスタムしてあるバイクとは、前オーナーの思い入れや愛着が強く、往々にして走行距離がかさんでいたり、酷使されていたりする場合が多いものです。その結果、中古として購入するには不適なバイクも中にはあります。
(3)ホンダ エイプの例
例えば、カスタムベースとして人気のある「ホンダ エイプ」について考えてみましょう。 2002年に発売されたエイプは、古き時代のCB50を彷彿とさせながらも、エンデューロレースXR80と共通部品を持つことから、ダートトラッカーにも似たデザインとなっています。 そのカスタムポイントは、たくさんあります。
ハンドル、マフラー、前後タイヤがメインで、他にはロングスイングアーム、シート、フロントフェンダー、リアフェンダー等です。 つまり、エンジン、キャブレター(年式によってはフューエルインジェクション)、フレーム以外はほぼカスタム対象という幅広さです。
(4)許容できるカスタム、できないカスタム
原付には車検がありませんが、カスタムも際限なくしていいわけではありません。 上にあげたカスタムを、許容できるものとできないものに分けてみましょう。
・許容できるもの
・バックステップ
・前後フェンダー
・シート
・前後タイヤ(外径に変更がないこと)
・許容できないもの
JMCA認定品でないマフラー
これは大ざっぱな区別ではありますが、あまり極端でないカスタムは許容できると考えていいでしょう。ただし極端かどうかは個人の好みや感覚によりますので、一番いいのはバイクにまたがってみて、アクセルやブレーキ、クラッチ等を操作してみることです。 ただし、ロングスイングアームは操縦性にかなり影響を与えます。スイングアームが長くなると、曲がりたくても曲がれないということが起きますし、ノーマルに比べてトラクション量に変化が起きるため、リアタイヤのグリップも変化します。 つまり、バイクが予想外の動きをする可能性が高くなるので、一目見て分かるほど延長されたスイングアームは、敬遠しておきましょう。
またJMCA認定品でない騒々しいマフラーは、不法改造となります。 もちろん車検はないので《車検に通る・通らない》はありませんが、バイクの近接排気騒音規制値は94デシベル以下と定められていますので、整備不良として道交法違反となります。 ちなみに「JMCA」とは、「全国二輪車用品連合会」の頭文字をとったもので、バイクのアフターパーツメーカーや用品店などの企業が集まって結成された自主規制団体です。JMCA認定プレートが貼られたマフラーは、公的試験を受けて騒音規制値などをクリアーした商品です。
(5)ノーマルパーツがあるか
カスタムしてあるバイクを購入する際に大切なのが、《ノーマルパーツがあるかどうか》です。 これはどのパーツにも言えることで、カスタムパーツに替えたときに外したノーマルパーツがあると、戻すことができますよね。 バイクは、操縦性や重量バランスなど、ノーマルが最もバランスが優れていますから、ノーマルパーツがあれば、その状態に戻すことが可能になります。
ただしマフラーは付け替えるときに、消耗品である「ガスケット」を新しくしないとなりませんので注意してください。バイク用品店で、1つ数百円で売られています。 またスイングアームを元に戻すのは、ショップでないとできないでしょう。チェーン長さやリアブレーキロッド長さも影響を受けるため、ポンと付け替えるわけにはいかないのです。
■タイプ別チェックポイント
原付中古のチェックポイントは前にご紹介しましたが、ここではタイプ別に、特に見るべきポイントをご説明します。
(1)オンロードマニュアル車
このタイプは、メインあるいはセカンドバイクとして、高回転キープと頻繁なギアチェンジをされてきた可能性が高いです。 走行距離は、できれば5,000km以下のものを選びたいですね。エンジンとサスペンションを中心にチェックします。
・シリンダーパッキン部のオイル漏れ ・サスペンションの動作(ダンパーが抜けていないか) ・転倒歴(クランクケース、レバー先端、マフラー等のすり傷) をチェックします。
(2)オフ車
原付オフ車でまず知っておくべきは、かなり手荒に使用されてきた可能性が高いということです。泥と小石を跳ね上げ高回転で走行してきたバイクは、かなり傷んでいると言えます。 エンジンからフレームまで、車体全体をチェックします。
・エンジン全体のオイル漏れ ・マフラーから白煙を吹かないか ・サスペンションの動作(ダンパーが抜けていないか、フォークがよじれていないか) ・転倒歴(クランクケース、マフラーや車体側面のすり傷) ・フォークの傷 ・車体下部の傷 ・フレームの傷や曲がりがないか
(3)スクーター
原付スクーターを購入するときは、是非前のオーナーがどんな方だったかを知りたいものです。 今では少数派となりましたが、主婦や年配の方が乗っていたスクーターであれば、エンジンを酷使せず低回転で丁寧に運転してきた可能性が高いので、程度がいいと言えます。 そうでない場合は、車体を全体的にチェックします。
・倒したあとはないか(側面のすり傷) ・サスペンションの作りが弱いので、動作とガタの確認
(4)その他
他には、アメリカン、モタード、ストリートとタイプはありますが、チェックポイントは基本的に同じです。
■人気車・レア車についての注意事項
さて原付にも、「旧車」や「レア車」と呼ばれるバイクがあることを知っておきましょう。 具体的には次のとおりで、圧倒的にマニュアルシフトのオンロードモデルが多いです。
ホンダ:モンキー、シリーズ(モンキーR、モンキーRTなど含む)、マグナ50(フィフティ)、シャリイ ヤマハ:RZ50、GT50 スズキ:RG50ガンマ、RG50、TS50(通称ハスラー)、マメタン50
これら旧車やレア車は、現在の市場取り引き価格が当時の新車価格の3倍、4倍になっていることも珍しくありません。 ただし、中型や大型の旧車と同様、これらは現在買うことができない、またそれにもかかわらず昔風のテイストを好む、そのバイクにしかない雰囲気が好まれているわけであり、価格は高くても車体は傷んでいるという場合もあります。 旧車やレア車はあくまでも、当時のテイストを買う、そのバイクだけの雰囲気を買うという性質を持つものであって、車体の程度や整備状況は二の次という場合もあります。
その極端な例が、1969年に発売されたホンダのCB750FOURです。 当時の新車販売価格は385,000円でしたが、今や初期型K0(ゼロ)は200万円超えは当たり前、なかには1,000万円などという価格がついたものもあります。販売から40年以上経っていますから、どれももちろん新車ではありません。 車体程度も、個体によってまちまち、新車のようにピカピカのものもあれば、錆が目立つのもあります。 ただしCB750FOURのように、人気もある、車両台数も多いという場合にはリプレースパーツも豊富ですが、こと原付において旧車やレア車ではあまり期待できません。 エンジンの重要パーツが壊れたら終わり、ということもあり得ます。旧車やレア車は、そこまで覚悟したうえで購入しなければならないのです。
■原付中古を買うなら、4サイクルエンジンを
現在販売されている原付バイクに、2サイクルエンジンはありません。しかし中古で原付を買うとなると、4サイクルと2サイクルの2通りのエンジンがあります。 どちらも、一般的なガソリンエンジンの形式です。
(1)4サイクル(4スト)エンジン
4サイクルエンジンとは、【吸気・圧縮・爆発・排気】という4工程を1周期とするエンジンで、現在販売されているほとんど(他に充電式があります)の国産バイクで採用されている形式です。
特徴は、 ・低速トルクがある ・機構は複雑だが信頼性が高い ・やや重くなる ・白煙を出さないため環境に優しい
ホンダが製造する「スーパーカブ」は4サイクルエンジンで、耐久性、燃費ともに世界でも有数の成績を誇っています。世界一製造台数の多いバイクでもありますが、エンジンは絶大な信頼性と耐久性があります。
(2)2サイクル(2スト)エンジン
2サイクルエンジンとは、2工程を1周期として回転するエンジンで、ピストンが上昇する行程で、新気の吸入と混合気の圧縮を行います。 そして下降行程では、混合気の爆発によってピストンが下降し、後半で排気を行います。
特徴は、 ・同じクランク軸回転数なら、4サイクルの2倍爆発しているので、馬力が出る ・部品数が少ないので、軽い ・オイル管理が難しい ・白煙が出る ・うるさい
これらをふまえて、原付を中古で購入するのに適しているのはどちらかと言えば、圧倒的に4サイクルエンジンだと言えるでしょう。 最大の理由は、4サイクルエンジンの信頼性の高さ、長期間使用しても壊れにくい、性能が劣化しにくいことは、中古車を買う場合に大きなメリットとなります。
そうなると、2サイクルエンジンの原付中古は、旧車やレア車でない限り、価格は安くなります。4サイクルは、それに比べて高めとなります。 もともと2サイクルエンジンは、部品点数が少ないためにメカニズムはシンプルですが、ピストンの爆発回数は4サイクルの2倍ありますので、長期使用ではシリンダー周囲が傷んできます。オイル管理もシビアです。 その点、4サイクルエンジンは、吸気や排気を行うためだけのバルブ、カムシャフト、バルブスプリング等、2サイクルにはない部品が多数あります。しかしそれは同時に、オイル管理等を怠らなければ、それらは初期の性能を維持し、長期使用に耐えることになります。 事実、400ccを超える大型バイクで、1970年代や80年代に製造された旧車で残っているバイクのほとんどは、4サイクルエンジンです。
■中古原付をどこで購入するか
最後は、ショップ選びです。 同じ中古車を買うにしても、どこで買うかということは、価格はもちろん、1台に決めるまでの選択肢が多いか少ないか、そしてアフターサービスまでもかかわってきます。 すると、比較的程度のいい原付を購入し、メンテナンスまで含めて長いおつきあいをしたいのであれば、下記の大手の中古専門販売店、メーカー系列店がお勧めです。
(1) 大手の中古専門販売店はタマ数が多い
よくテレビやインターネットで、「バイクを買い取ります」と広告を出しているバイク専門の買い取り業者がありますね。 これら企業が直営で経営しているショップで、売られているバイクは、買い取ったバイクを清掃および整備したものです。 店頭で売られるためには、程度のいい中古車が多いですし、安心感もあります。大手業者であれば、流通する「タマ数」=車両台数も多いですから、希望の車種・年式・価格帯を言えば探してもらうことも可能です。
タマ数が多ければ回転が早くなりますから、価格も抑えられます。 よく、「大手は広告料が上乗せされている」という話を聞きますが、気にするレベルではないと思っていいでしょう。 ただし買い取り・販売ともにメインは中型から大型のバイクですから、原付自体のマーケットは小さいです。 しかも再販売されるためには、程度のいいバイクでなければなりません。旧車やレア車はまずありません。
(2)メーカー系列店の中古車は安心
日本のバイクメーカーにはそれぞれ系列の販売店があります。 ホンダなら「ドリーム店」、ヤマハなら「YSP店」、スズキでは店名に統一はありませんが「スズキバイクショップ」という看板が掲げられています。 そして、ショップのホームページ等を見ると、「優良中古車」や「認定中古車」という保証をかけられたものが売られています。
主流は大型から中型バイクですが、原付もあります。 ただし、優良や認定という意味の性格上、販売から10年以上経つ旧車やレア車はありません。
(3)個人経営の販売店
市内や郊外にある、自転車等と一緒に原付バイクを販売しているお店で買う方法です。 しかし現在は、バイク人口の減少から、ほとんど見ることはなくなってしまいました。 購入できても店主は高齢化していることが多く、長期のアフターサービスは望めません。
(4)インターネットオークション
この方法で購入するときには、可能な限り、現物を見てから決めたいものです。 ゲームソフトやCDならともかく、バイクは走行距離や年数に比例して劣化しますから、買ったはいいがエンジンがかからなかった、まっすぐ走らなかった等があってはなりません。 できるだけ現車を見てから決めましょう。それもバイクに詳しい方に同行してもらうのがベストです。 旧車やレア車のほとんどは、オークションで売買されています。 なかには「ジャンク品」として、動作を保証しないものまであります。
(5)アフターサービスまで考えておきたい
以上、4つの方法をご紹介しましたが、オークション以外で購入する場合、バイクは一度プロの手で整備されていますから、あまり心配はいりません。 しかし購入の際、全体の錆やオイル漏れ、サスペンション動作等に問題がないことをしっかり確認しておくことは言うまでもありません。
またバイクでも車でも、一度買ったら、ショップとのつきあいは終わりではありません。 原付でも、タイヤやオイルは交換しなければなりません。オイル交換は自分でもできますが、廃油の処理も考えなくてはなりません。 他にも、プラグ交換、エアクリーナー交換、チェーン調整なども定期的に発生します。 さらには、道路を走っていて突然故障で止まってしまった、などの可能性まで考慮すると、ショップは自宅近くにあるのがベストです。