251cc以上のバイクに乗っているなら、誰もに必ず訪れるのがバイクの車検です。
「あ!今月車検だった。どうしよう」と、直前になって焦らないためにも、バイク車検について学んでみませんか。
初めての車検でも大丈夫!こちらではバイクの車検で知っておきたい必要な知識を3つにまとめました。
■目次
■ライター紹介

その1.そもそもバイク車検って?バイクの車検に関する基本情報
バイクの車検というのは、道路運送車両法 (第61条自動車検査証の有効期間)において『一定の期間で受けなければ公道を走行してはいけない』と、決められている国の制度です。
バイクの場合は、初回検査は3年、以降は2年毎に車検を受ける必要があり、受ける義務があるのは排気量が251cc以上のバイクと決められています。
ただし、250cc以下のバイクでも『車検がないから整備をしなくていい』というのではなく、安全に乗るための点検整備を日々心掛けましょう。
【どこで?】バイクの車検を受ける場所は?
バイクの車検を受ける場所は、主に陸運局かバイクショップのどちらかです。
バイク所有者が自ら陸運局へ出向き車検を行うことを『ユーザー車検』と呼びます。
バイクショップがバイク所有者に代わって車検を行うことを『車検代行』と呼びます。
▼車検代行の場合 バイクショップでの車検代行は有資格整備士による点検整備が含まれているため、それらの工賃や交換パーツ費によって、ユーザー車検より割増となります。
【認証工場】VS【指定工場】
車検代行を行うバイクショップは、主に2タイプに分けられます。
点検整備を自社で行った後、陸運局へ持ち込み検査を通すバイクショップを認証工場と呼びます。
点検整備も、検査も、自社で行うことが出来るバイクショップを指定工場を呼びます。
▼指定工場の場合 指定工場は国の厳しい審査基準を満たした設備が備わっていて、陸運局に持ち込まずとも同検査を自社で行えるため車検時間が大幅短縮できます。 その一方、認証工場よりも設備費がかかっているため、費用面は割高だと言われています。
【どれくらい?】バイクの車検にかかる日数
ユーザー車検と車検代行、それぞれのバイク車検では車検にかかる日数にも違いがあります。
▼車検代行の場合 バイクショップで車検を代行してもらう多くの場合、点検整備に時間を要するため、基本的には車体を預けなければいけません。 車体状態によっては交換パーツを取り寄せたり、他の作業待ちバイクと重なったりするので、平均して1週間ほど見ておきましょう。 はやいものでは認証工場では2~3日、指定工場では預けた当日、車検を終わらせることが出来るバイクショップもあります。
【何がいる?】バイクの車検に必要なもの
ユーザー車検と車検代行、それぞれのバイク車検では車検に必要な書類にも違いがあります。
①「車検証」
②「自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責)」
③「自動車税納税証明書」※自動車税を滞納せず、自動車税を納付してから3週間以上経過している場合は省略することが出来ます。
▼ユーザー車検の場合
バイクショップで車検を代行してもらう場合の書類①~③
④「自動車検査票」※当日陸運局で入手できます。
⑤「自動車重量税納付書」※当日陸運局で入手できます。
⑥「継続検査申請」※当日陸運局で入手できます。
⑦「定期点検整備記録簿」
ユーザー車検の場合、②の自賠責の書類が新旧(保険期間有りのものと無しのもの)2枚必要となりますので、新たに加入したものも忘れずに準備しましょう。
⑦の記録簿は12か月点検や24か月点検の内容を記録したもので、バイクショップで法定点検を受けていれば受け取っているはずの書類になります。
また、⑦は自作することも可能ですが、専門知識が必要な項目があるので安全面を考慮するとお勧めいたしません。
その2.【総額いくら?】バイク車検にかかる費用について
必要最低限の費用で車検を通すことが出来るユーザー車検と、点検整備にコストがかかるため割高となる車検代行とでは、費用の総額に違いがあります。
ユーザー車検も車検代行も必要な法定費用って?
どんなバイクの車検でも『法定費用』と呼ばれる20,340円が必要になります。
①「重量税」5,000円
②「印紙代」1,700円
③「自賠責保険代」24か月分13,640円※車検切れの場合25か月分14,010円
▼車検代行の場合 バイクショップで車検を代行してもらう場合は、上記法定費用に加えて点検整備ための費用(工賃や交換パーツ費)が発生します。 点検整備費用は認証工場や指定工場、バイクの状態によって金額が違ってきます。
パーツ交換しないと車検が通らないって本当?
バイクの状態によっては、パーツ交換をしないと車検が通らないというケースが多々あります。
以下の消耗パーツは交換時期の目安が存在しますので、法定点検の項目に見合った整備、交換をしましょう。
カスタムバイクは保安基準を満たそう
保安基準を満たしていないカスタムバイクは車検が通らないため、車検に通る状態もしくは純正の状態まで戻す必要があります。
・平成10年度の基準:99dB(250cc以上)
・平成13年度の基準:94dB(250cc以上)
・平成22年度の近接排気騒音基準:94dB(125cc以上)
・平成22年度の加速走行騒音基準:82dB(125cc以上)
また、触媒装置が元々内蔵されている車種の場合は、騒音検査に加えて排ガス試験があります。 ※JMCAの排出ガス対応品であっても、排ガス試験の成績証明書がなければ検査ができません。
・レンズ色:オレンジのみ、クリアレンズでも電球色がオレンジであれば適応
・点滅回数:1分あたり60回以上120回以下
・レンズの大きさ:7平方㎝以上で場所は左右対称、左右の間隔を(前)30cm(後)15cm以上離す
・発光面:中心より内側45度、外側80度から見える場所へ設置
・明るさ:(2灯式)15,000cdから225,000cdまで(4灯式)12,000cdから225,000cdまで
・色温度:3,500Kから6,000Kまで
※LEDライトの場合でも、この基準範囲内であれば適応とされています。
ミラー:後方が明確に確認できること、ひび割れやひずみがある場合は不適合
大きさ:面積が69平方㎝以上、直径78mmの円
※円形以外であれば大きさが120mm×200mm未満で直径78mmの円を内包できること
設置位置:ハンドルの中心から280mm以上外側に左右両方
その他:シートのシングルシートは不適合
リアリフレクター:保安基準に適合してるもののみ
その3.【ポイント解説】ユーザー車検を通す上で知っておこう
陸運局というのは、そもそも整備工場や行政書士など車検のプロばかりを相手にしていたお役所というのが大前提です。
ユーザー車検とはいえ検査員も人間ですから、横柄な態度などを取ってしまったら、通る車検も通らなくなってしまうかもしれません。
下手に慣れているふりをするよりも、検査員に『初めてなので教えてください』と丁寧に質問すれば、やさしく教えてくれるでしょう。
【ユーザー車検①】陸運局は事前予約をしてから準備
陸運局にもよりますが、繁忙期はかなり混雑するので事前予約をしてからユーザー車検に行きましょう。
管轄の陸運局に電話で問い合わせをしてみるか、こちらの国土交通省の車検予約システムから事前予約が可能です。
車検の有効期限が満了となる1か月前から車検を受けることが出来ますので、余裕を持って車検日を予約をしておきましょう。
早めに車検を通したからといって次の有効期限が前倒しになる訳ではありません。
車検日までに準備するもの
・印鑑(認印でかまいません)
・書類用バインダー(陸運局内では移動が多く有ると便利です)
・筆記用具(HBの鉛筆と消しゴム、黒のボールペン)
【ユーザー車検②】予備検場の利用がおススメ
多くの陸運局の周辺には『予備検場(テスター屋)』と呼ばれる、実際の車検と同じ測定を事前に試せるショップが営業しています。
予備検場を利用すれば本検査で不適合となってしまう箇所を前もって把握することができます。
多少費用はかかりますが、スムーズな一発合格を目指すならまずは車検前に予備検場の利用をおすすめいたします。
ヘッドライト検査:ヘッドライトの光度と光軸を測定・調整
電気廻り検査:電気周りのランプ点灯・レンズ・球切れのチェック
スピードメーター測定検査:指示計の誤差確認測定検査
ブレーキ検査:前輪ブレーキ、後輪ブレーキの制動力測定検査
排気ガス検査:排気ガスの測定・調整
目視検査:外観、全体を目視検査
【ユーザー車検③】不適合だったらどうしよう
車検の点検項目に全て適合し、検査員から書類に印鑑をもらえたら、あとは車検証と自賠責のステッカーを受け取って終了となります。
万が一不適合となってしまっても、検査当日であれば2回までは費用なしで再検査を受けることが可能ですのでご安心ください。
(3回目以降の検査料金は初回検査日から15日以内であれば1,700円です)
多くの不適合になるケースとしては光軸検査が多いので、前述しました予備検場のヘッドライト検査を利用し調整して、再検査に臨みましょう。
【まとめ】車検は安全なバイクライフのため
バイクの車検で知っておきたい必要な知識を3つにわけてご説明いたしましたが、そもそも車検が定められている目的というのは『安全な交通社会実現』のためです。
安易に「ユーザー車検が安くて早いならそっちで良い」などと考えてしまっては本来の目的にそぐわなくなってしまいます。
ユーザー車検、車検代行、それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、
「自身に整備知識があるからこそユーザー車検でコストをカットする」
というように、ご自身のバイクライフに合わせて両者を使い分けることが、一番安全かつ重要なことであることを忘れないでください。














